これは、システム屋さんやコンピュータ屋さんへの文句ではありません。むしろ、そうでない人への文句です。
図書館もコンピュータでずいぶん便利になりました。
しかし、その一方で、何で肝心なことができないのだろうと思います。
図書館の蔵書をコンピュータで検索させるのは当たり前になりつつあります。書名の一部でも検索できるから、多少、うろ覚えでも大丈夫です。
しかし、テーマ、主題で検索しようとすると、とたんにダメなんです。
もちろん、書名はたいていテーマを反映していますから、書名の項目に、該当の言葉を入れれば、それなりに出てきますが、同じテーマを表現する言葉がたくさんあったり、テーマを表現する言葉が漢字1字だったりカタカナ・ひらがなだったり、こういう時はおよそうまく行きません。典型的な例が「がん」。これは分類で検索するのもなかなかうまく行きません。なぜなら、呼吸器だとか泌尿器だとか、そういうふうに分類はわかれているから、がんだけでまとまっているわけではないからです。
そういう時には、件名検索というのがいいのですが、これができないところが案外多いです。件名は件名標目表というものに載っている言葉しか検索できないからなんですが、それでも、今の件名標目表はかなり分厚くなっていて、前のよりは使えるはずなのです。
この件名標目表自体がコンピュータの中に入っていて、入力した言葉に近い件名を提示してくれるシステムをつくれば、ずいぶん使えると思うのです。このとき分類を提示するのもいい方法だと思うのです。
いきなり検索に行くというのではなく、検索に使う言葉なり記号なりをまず探すということですね。
でも、こういうのは、いくらコンピュータ屋さんがプログラムとか工夫してくれたところで、それだけではすみません。もともとの件名が付与されていなければならないからです。じつは、、図書館が買っているデータには件名はたいてい入っていますが、自主作成したものに件名までつけている例は少ないと思います。それから、本の内容の部分、部分まで件名をつけている例はほとんどないのではないかというくらいに思います。
なんだかんだ言って、いまだに人間の働く余地はたくさんあり、また、そういうところで人間が働いてくれた方がコンピュータも有効なんだと思います。
図書館でのコンピュータの導入というのは、マン-マシン・システムを構築するということであって、完全自動化ということではないと思います。まあ、コンピュータが本を読んで、意味までわかる(かのようになる)時代になれば別でしょうけど。
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