教育基本法改正案 第5条
改正案第5条(義務教育)
国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
3 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。
現行法第4条(義務教育)
国民は、その保護する子女に、9年の普通教育を受けさせる義務を負う。
2 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。
何が違うか?
改正案の2項と3項が新たに加わった部分である。3項は地方分権を意識したものだと思う。2項は、例によって「国家」が登場する。国家の形成者ということは、結局、国民ということだと思うが、国民には資質が必要ということか。まあ、確かにそうかもしれない。しかし、非国民にされるのはまっぴらである。
国民に一定の資質は必要かもしれないが、その義務とともに、権利についても十分に教育されないとバランスがとれない。国民の資質とは、この権利と義務の認識と理解である。国を愛する態度とかいう曖昧なものでは「足りない」。国を愛していても、権利意識が希薄だったり、義務について自覚がないような人(税金払わない右翼など)は国民としての資質に欠ける。今の義務教育では「公民」といったような中途半端な科目しかないけれども、ちゃんと、法律なども教えるようにするのだろうか? 法解釈など、やはり教えてもらわないとわからない。「公民」程度の教育では、自分の権利を守ることはとてもできない。裁判員制度のこともあるし、どうするのだろう? 少なくとも、こんなことを言うなら、私の商売の司書にからめて言うと、次のことを要求したい。
1 図書館には、法律の改正案とその趣旨についてまとめた資料を必ず送付すること。これは、事前に、国民自身が検討できるようにということである。国会議員は国民の代表だが、国民自体が改正案を知ることができることが必要だと思う。逆に言うと、国会議員や特定政党だけで、議案をごちゃごちゃつくって拙速に決めてくれるなということである。それが議会の権限だとは言っても、国民にも法律の改正案のように重要なものは知る権利があると思う。
2 図書館において、法律関係のデータベースを無料で利用できるようにすること。これは、判例・行政実例、そして、学説等の解釈についても検索できるようにする必要がある。
3 図書館の資料費を増やすこと。そうでないと、最近の朝令暮改の法律関係の本を十分に買うことができない。
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